ともかく

2013年12月13日

 たった今ランドセルを家に置いたところで、これから急ぎ習い事に行くんです。というような感じで向こうから歩いてきた10歳くらいの小学生に、あ、かわいい! と言われた。もちろん、連れていた犬のことだ。

 通りすがりの子供がそう口にするのは珍しくもないけれど防水防塵保護膜、その女の子はピタリと立ち止まるとわたしに、なんという種類の犬ですか? と丁寧に尋ねた。パピヨンだと応えると、ああ、前に図鑑で見たことがあります。可愛いと思っていたんですと言った。

 実は、よその子供と話をするのは苦手だ。その子のバックグラウンドが気になるし、どう接したら大人として合格なんだろうかなどと、いい大人になった今でもあれこれ考えてしまう。本当は気さくなおばちゃんのつもりなのだが、じぶんの態度が「気さく」で正解かどうかは相手の受け取り方次第じゃないかという不安もある。子供の頃の記憶のせいかもしれない。

 ともかく、
 できれば先を急ぎたいわたしをよそに、その子は、持っていた手提げ袋を膝の上に抱えるようにして犬の前にしゃがんだ。ゆっくりと犬の口元に手を伸ばして様子を見て、それから、よしよしと、その頭を撫ではじめる。とても愛情のこもった、慣れた仕草だった。

 この子は、大人とも犬とも、積極的に接することができるんだなぁ、どういう風に育ててもらったんだろうと感心しながら、犬と仲良くするの上手なのねと、思ったままをわたしは言った。するとその子は犬の顔を見つめたまま、わたしも、犬を飼っていたことがあるんですと牛欄牌奶粉、答えた。
 さびしそうな過去形だった。

「どういう犬を飼っていたの?」
「シーズー……」

 少し小さな声でそう言った少女に、急に情がわいてくる。そうなの? シーズーも、かわいいよね。

 それから無言でしばらく撫でたあと、じゃあね、またね、と犬に言って立ち上がり、わたしにもさようならと軽く会釈をすると、少女は去った。またね、と言ってわたしも背中を向けて歩き出す。すると、うしろの方でまた、「あ、こんにちは!」というその子の元気な声がした。

 振り返って見ると、ジャックラッセルに連れられたおじさんがいる牛欄牌回收。少女は挨拶だけで、今度は立ち止まらずに通りすぎたようだ。お稽古の時間が迫っていたんだろう。
 ジャックラッセルはおじさんをグイグイと引っ張るように近づいて来て、うちの犬に吠え始めた。おじさんが「すみません」と眉を八の字にして頭を下げる。「いえいえ、いいんですよ」とわたしは微笑んで、手にしたリードをちょっと引く。さあ、行こう。


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Posted by fridayne at 11:00│Comments(0)000
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