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2017年01月11日

うに見ていた栄太


栄太が扉を開け顔を出す。
早雪はベッドに寝たまま栄太をぼぅっと見上げた。
体調が悪いのかい?」
うん、なんか頭が痛くて」
そういうことならすぐに言ってくれよ。同居人が医師なんだから」
栄太は呆れたようにため息を付きながら早雪の額に手を当てる。
結構あるね…。ちょっと診ようか。」
栄太は一度下に戻ると聴診器や何かを持って上がって来た。
早雪はひととおを診察してもらい、またベッドに横になる。
風邪だな。喉も赤いし、寒気は?」
する…」
お腹の調子は?」
大丈夫。でも喉痛い…」
うん、じゃ、薬を処方しよう。何も食べてないんだろ?」
うん」
何か作って来るから、その後薬を飲む事。いいね?」
うん」
早雪がぼぅっとしたまま頷くと栄太が笑う。
なんか、弱ってる君は妙に可愛いな」
そう言いながら頭を撫でられて早雪は赤くなって布団をかぶった。
どうせ普段が可愛くないですからね」
そんなこと言ってないだろ?普段から充分可愛いよ。じゃ、俺が戻ってくるまで大人しく寝ているように、仕事なんかしたらお仕置きだよ?」
さすがに、しないよ…」
よし、じゃ、ちょっと待ってて」
栄太は笑うと部屋を出て行ってしまった。
そのまま寝てしまい、しばらくしてまた栄太の声が早雪を呼ぶ。
起きられるかい?おかゆ…作って来たんだが…。というより、貴彰さんが作ってくれたから持って来たんだ。お見舞いに来ようかと言っていたんだが、次の予定があるとかで夕方様子を見に来てくれるそうだよ」
ありがとう…いただきます」
早雪は食欲がないものの、栄太に渡されたおかゆを口に運ぶ。
こうやって看病してもらうのも悪くないものだなとおもいながら、愛情たっぷりのおかゆを食べた。
食べ終えて薬を飲み、栄太が安心したように息をついた。
これで後は寝てれば治るだろう。大人しく寝ててくれよ?」
うん」
俺、もうそろそろ巡回行くけど、一人で大丈夫かい?」
うん」
早雪は頷く。
それを診て栄太が微笑んだ。
栄太さん…、ありがとう」
ああ。じゃあ、また後で。そのうち貴彰さんが様子を見に来てくれるそうだから。何か欲しいものとかあったら彼に頼むと良い」
うん」
早雪はそのまま目を閉じた。
すぐに寝入ってしまった早雪を心配そうに見ていた栄太だが、すぐに立ち上がる。
(疲れが出たのもあるんだろうな…)
今だけは何も考えずゆっくり休んでほしかった。
これから東京に戻り、また忙しい日々が続くだろう。
心の傷もまだ癒えていない。
安らかな表情で、子どもの様に眠る早雪を見て、どうか今だけでも何も考えずに眠れたらいいと願わずにはいられなかったのだ。
深夜、眠れずに何度も寝返りをうっていたザンは起上がった。
何故、YESと言ってしまったのか。
自分はこの村に深く関わるつもりはない。
早雪たちに付いて行ったのも観光の代わりのようなものだった。
自警団などはじめたら、それこそ帰れなくなるだろう。  


Posted by fridayne at 19:06Comments(0)